こうちゃんは私が失敗する度に逆上がりを見せてくれ、私もそれを見ながら何度も挑戦する。


 それでも逆上がり全くできなかった。


「休憩しよっか」


 こうちゃんにそう声をかけられた。


「うん!」


 私はベンチの端っこに座る。


 こうちゃんもこっちに来ると思っていたが、どこかに行ってしまった。


 私は1人で大きく息を吐いた。


 自分の手を見ると豆ができていて少し痛い。


 この調子で本当にできるようになるのかな。


 不安で涙がこぼれそうになった。


「あげる」


 私の手の前に小さなペットボトルがひょっこりと現れる。


 それが現れてきた方を見ると、こうちゃんが同じものをもう1本持って立っていた。


「何が好きかわからなかったから、俺が好きなやつにしちゃった」


「ありがとう」