神様には成れない。


解放された手を無意識に自分の手で包み込み、まだ消えない羞恥心を纏いながら彼の表情を盗み見る。

公園の街灯に照らされた彼の表情に色はない。


「正直に話すとさ、誰かと手を繋いでドキドキするとかそんな感情持ったことないんだ」

「え…」

「今だって何も思わなかったんだ」


深刻そうに話し、ため息を吐く。

諦めたかのように自分の掌を見つめて、何度か開いたり閉じたりしている。

私はこんなに動揺したのにと思う気持ちはあったけれど、それをぶつけてもさらに恥ずかしさが増すばかりなのは目に見えていたので、またもや堪えて代わりの言葉を伝える。


「それは、単に私の事はどうでもいいからなのでは?」


そんな率直な感想。どんどん惨めになっていく気もしたが、自覚してしまえば泣いてしまうかもしれないので気づかないふりをする。

え、と小さく動揺したような声を上げて、弾かれたように私のほうに彼が向き直った。

彼の動きに合わせて跳ねた前髪の奥から見えた瞳がグッと此方に近づく。


「違う違う。それはないよ。どうでもよかったらこんな告白しようとも思わない」


必死ともとれる弁解をしてくるが、どうにもこうにも解せない。

ますます彼への謎が深まっていく。