告白してきた時は、好きではないにしろ何かの気持ちが高ぶっていたのか、それに比べると随分落ち着きを取り戻したように見えた。
と、ふと手に違和感。
「っ!な、なん……!?」
違和感処かはっきりした感触。不意に、缶を握っていた片手をとられていた。
突然の事に動揺し、もう片方の手で支えられていた缶が地面に落ちる。
カンッと鈍いとも軽いともとれる音を立てて、それを境に音が途切れた。
静かな公園がより一層静かになる。遠くに聞こえていた喧騒すら聞こえなくなる。
一瞬そうして無音の世界に溶け込みかけたけれど、彼の声が私を引き戻したのだ。
「ねぇ、瀬戸さん。手を握られてどんな気持ち?」
「ど、んな、気持ち、って……!?」
切れ切れになりながら何とか声をだす。
恋愛経験のない私は異性と手を繋ぐのだってほぼ初めての事だ。
知らない人だったら嫌悪感を抱くだろうが、目の前にいるのは知っている人で、嫌悪感処か友人としてなら好意的には思っていた人だ。
動揺しないはずがない。
問いかけを皮切りに音が戻ってきた。
五月蝿くなる心臓の音が聞こえる。誰の?
私の。

