「お生憎様この顔は作ったものだから、メイク落とした顔見たらみんな逃げていくのよね。そもそもそんなもののためにメイクなんてしてないんだけど」
「ああ~~、いるよな。メイク落としたらまったく顔の違う女の子。俺そういう子好き~」
「うわっでた!そう言う男もいるわ。大抵有言実行なんて出来ないのに」
「でもだって、可愛くなろうとする女の子って可愛いだろ~?っていうかそんなに違うの?千花ちゃん」
「え!?私!?」
私も、淵くんもそうだが、ただただ二人のやり取りを聞いているだけだったので不意に話を振られてビクリと過剰な反応を示してしまい、肩が揺れる。
「二人友達ならすっぴん知ってるっしょ?」
「知ってるよ。……確かに京ちゃんお化粧すると結構変わるけど、私はそのままでもいいと思うんだけどなあ」
「え、嫌。メイクしないと千花の隣になんて立てないし今日みたいにご飯もいけないもん」
無理無理と否定をし、前髪を指先で遊ぶ。
彼女はいつもこんな調子で自分の見た目を気にする。
「京ちゃんは見た目のコンプレックス強いんだな」

