神様には成れない。



そんな事を思い返して間が空いたからか、彼はくすくすと笑う。


「いいよ、答えなくて。ほんとに大丈夫だから」

「あ、あの、」

「ここもさ、どうしても名残惜しくて我儘言って残しておいて貰ってたんだけど、もう前に進めそうだから我儘は終わりにしようと思って」


多分売地になるんじゃないかな。なんて少しだけ寂しそうに呟く。


「あ……」


違う。彼は口で言うほど大丈夫ではないのだ。

大丈夫になろうとしているのだ。

彼の問いに答えれないわけじゃなかった。応えたかった。

無理に大丈夫にならなくたっていい。未来を見ているのならいつか本当の意味で大丈夫になるのだ。

だから


「はっ、花を植えよう!!」

「え?」


私の突拍子も無い言葉に彼はぽかんと口を開ける。

それに構わず私は枯れた草を踏みしめ彼の前に出て、手を広げた。


「きっとこの枯れてる草も全部お花だったんだよね?だったら咲いてた頃みたいに綺麗にして、ここにお花畑を作るの」

「……」

「ここを手離してしまうのなら、私が買うよ!買って綺麗にして、それから……」

「――……ふっ、ははっ!あはは!」


勢い任せに興奮気味に夢物語を口にする私を彼は盛大に笑った。