「俺はね、瀬戸さんが無責任だって構わないんだよ」
ああ、それは私が一番気に病んだ事だ。
だって、神様でもヒーローでも無い私じゃ彼を救ってあげれなかった。
「その分その優しい心を知ってる」
「……」
「正しい好きなんてわからなくていいし、俺を肯定してくれなくったっていい。ちゃんと目が覚めたよ」
「!」
不意に彼は、するりと指と指を絡めてニッコリと笑ってみせる。
「この手は瀬戸さんを引き止めるためでも引っ張ってもらうためでもなくて、一緒にいる為に繋いでたい」
「っ……」
一つ一つの言葉に今までの答えが返ってくる。
「一緒に笑って、時々喧嘩だってして、それでも一緒にいて。俺は瀬戸さんとの未来を見てたい」
その答えは私の中に染み込み、冷たくなっていた心を温める。
キュッと少しだけ強められた指が私の心臓を掴んだような気がした。
「俺の好きは、そう言う好きだよ」

