どこか海外の家を彷彿とさせるのは、レンガ調の作りからか、こんな人里離れた場所だからか。
少し視線を遠くに向ければ、また木々が見えるので木を切り崩して作られた土地だと分かる。
「淵くん、ここって……」
振り返れば私の数歩後ろに彼がいて、困ったように眉を下げた。
「こんな場所に連れてくるのもどうかなって思ったんだけど、俺臆病だからちゃんと話せないと思ったんだ。ここに来れば嫌でも話さないといけないから」
その言葉もまた、彼の臆病さを表していた。
私有地と思われるこの場所。ただ向日葵を見にきただけだと誤魔化しなど出来はしない。
ああ、と何となく勘付いたのは月乃ちゃんに聞いていたからだろう。
「ここは、俺の婆ちゃんの家だよ」
「……」
彼は私の隣を抜けてゆっくりと歩き始める。
宛てもなく、フラフラと。

