神様には成れない。



一貫したことを言えない私に失望するだろうか。否定した私を嫌になるだろうか。こんな私を嫌いになるだろうか。

不安は襲うけれど、逃げないと、向き合うと決めたのだ。

――ちゃんと話した上で考えると莉子ちゃんに言ったのだ。

これが私の答えだ。

彼は答えあぐねているのか、二人の間に沈黙が流れる。

いつもよく聞こえていたカチカチと時計が刻む音は、外の喧騒によって弱々しい。

ふわり、と柔らかい風が吹いた時彼は口を開いた。


「……ねぇ瀬戸さん。ちょっと今から付き合って欲しいところあるんだけどいい?」


それはおおよそ答えなどではなかった。

いや、答えてもらうような言葉ではなかったように思う。

しかし、優しく微笑む彼の表情から何を考えているのか読み取れなかった。