神様には成れない。



だが同時に、大学生になった、大学生なのだから、と口で言っていても結局は1人でどうにもできない子供だと自覚すべきなのだろう。

私だってお母さんに頼っていた子供だった。


「月乃から瀬戸さんが探してるって話聞いてるうちに、来宮さんから月乃に連絡があって、来宮さんは佐伯から連絡があって、佐伯は中島さんから連絡があって……」


私が騒いだりしたから、少々ややこしい事になってしまっていたようだ。それも反省すべき事だった。


「結局、中島さんから水無川と瀬戸さんが一緒にいるから早く行けって伝達してきたみたいで、正直、何でそんな事になってるか分かんないままあの場所に行ったんだよ」


そこで役立ったのが彼の携帯だったのだろう。だからこそ、直ぐに来れたのだ。


「でも、淵くんは出てきたくなかったんじゃないの?」


しかし、逃げていた筈の彼を呼び出す事になってしまったのはもしかすると、彼にとって不本意だったのかもしれない。

仁菜ちゃんにとっては、それこそが本意だったのだろうけれど。

だって彼女は私を使ってまで、彼女自身の気持ちを終わらせたがっていた。


「出てきたくなかったって訳じゃなくて、どうやったら水無川に納得してもらえるか考えたかったんだ」


確か付きまとわれていると彼は言っていた。今にして思えば、それすらも彼を怒らせる為の行動だったのだろうけれど、この一連の行動は鉢合わせないようにする為の彼なりの対処だったのだ。

回りくどい。しかし、それでもやはり仁菜ちゃんとも向き合おうとした彼の真面目さから来るものなのだろう。


「……いいなぁ、仁菜ちゃん」