神様には成れない。




二人で倒れる寸前の仁菜ちゃんを支え、結果として怪我はなかった。

勢いで飛び込んだ為に3人とも地面にへたり込むような形になる。

ホッと息をついたと同時にカツンと少し離れたところで金属音のような音がした。


「あ……」


反射的に目で追った先に落ちていたのは私のピアスで、先の衝撃もあったために緩んでいたのだろうか。

拾わなければと頭で考えているうちに投げ出されたそれは、道行く誰かの靴に当たり、そうしてまた別の歩行者の足元に行き、


「あっ!だ、だめ!!」


無残にも踏み潰されてしまいそうになった時、今度は仁菜ちゃんが声を上げて勢いに任せるように手を伸ばした。


「っぅ……!」


スニーカーに手を踏まれる仁菜ちゃんは小さく声をあげて、踏んでしまった男の人はよろけて声を荒げた。


「うわっ!?何やってんだよ!危ないだろ!!」

「ご、ごめんなさい!!」


仁菜ちゃんは俯きながら勢い任せのように謝って、拳を握る。

その行動にただただ唖然とするしかなくて、飛び出したことに非があるにしろ、人の手を踏んだことに言及する事も出来なかった。

不器用だけれど根は優しい子なのかもしれない。なんて事を思った。