神様には成れない。




「高校の時一緒の時間を過ごしてくれて幸せだった。私の我儘でしかない事だって聞いてくれて、嬉しかった。それで、だから……」


そうして指折り数えるのは彼と二人の事で、それでも数えれなかったのは彼女自身の事。


「それが今度は不安だった。ウザがられてないかな。間違ってないかな。他の子の方がいいんじゃないかな。って」


自分自身を苛む負の感情を思い出したかのように小さく身震いを見せる。


「ナナくんは私を絶対に否定なんてしなかったから。絶対に……千花ちゃんに対してみたいに怒りもしなかったから。いつだって優しかったから」

「!に、」

「大丈夫」


ハッとした淵くんが声をかけようとする瞬間、名前を呼ばせないかのように、強く声を出す。漸く涙を拭いた彼女が小さく微笑んだ。

彼女の青白い頬は夏の日差しに照らされて透けてしまいそうな程儚くすら見えた。

目に見えて弱々しくて、一人では立っていられそうにないその姿。

いや、違う。何処かおかしい。


「ナナくんはもうあの頃のナナくんじゃないよ。きっと変われる。ううん、変われてるよ」


瞬きが早い。息も乱れてる。顔色が悪い。


「だから、ごめんね?……っ」


そうして考えているうちに不意に彼女はふらりと体を傾けた。


「に、なちゃん!」

「っ!!」


気づいた時には私も彼も彼女に手を伸ばしていた。