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結局、何も進展などないままに私は肩を落としてマンションから出て来ていた。茹だるような照り返しに一層嫌気を感じながら、家に帰ろうと駅の方へ向かう。

もうこれ以上は無駄だろう。

佐伯くんか月乃ちゃん、もしくは淵くんから直接連絡が来るのを待つしかない。

考え事をしようにも考える事は纏まらず、ただただお腹空いたなぁ、などと自分が感じる感覚を実感していた。

そう言えばまだお昼ご飯を食べていなかったか。バイト先が近いからそこでお弁当でも買って行こうか。

そんな体たらくな事を思いながら、コンビニへと足を進めていく。

と、ふと声が上がった。


「あ~~、千花ちゃんだぁ」

「?!」


妙に甘いような声色で目の前で手を振っていたのは彼女で。仁菜ちゃんで。

どうして此処にいるのか。どうして私に手を振れるのか理解出来ずに少しパニックに陥る。

それでも仁菜ちゃんはそんな事を微塵にも気にしない様子で、夏らしい青いサンダルの踵を鳴らしながら駆け寄ってきた。

翻る白いスカートの色が目に突き刺さる。