神様には成れない。



丁度表向きに落としてしまったらしく、全ての写真を確認できてしまった。

夏らしい涼やかな水色の封筒から溢れ出ている。

見てはいけないとは思いつつもつい、封筒の宛名が目に入ってしまった。


『淵月乃』


どうやら彼の妹、月乃ちゃんから送られて来たものらしい。

確か写真を撮る事が好きだと言っていただろうか。データでのやり取りが主ではあるのに、こうやって現像するのも今では珍しい。

散らかしてしまった写真を放っておくわけにもいかず、屈んで拾う。

不可抗力で見てしまう写真は、月乃ちゃんが撮ったものらしい。どうやら七夕祭りでの写真が主らしい。


「……こんなのも撮られてたんだ」


月乃ちゃんが声を掛けて一緒に撮ったもの以外にも、私と彼が気づいていない内に撮ったものもあったらしい。

屈託のない笑顔で笑う彼と私。

とても楽しそうで、それでいて愛おしいような気持ちも沸き起こる。


「楽しかったなぁ、また行きたい」


なんて、月並みな言葉で表現をして懐かしむ。

殆ど日にちなんて経っていないのに、何故だか遠い日の事のように思う。

全部集め終わる、その時に、一枚だけ裏向きになった写真があった。

全て表で滑り落ちたのに何故これだけ裏向けなのだろうと不思議に思い、表に向ければまた彼の屈託のない笑顔に出会う。


「誰、だろう」


知らないお婆さんと映った写真。

大きめのツバの白い帽子に赤いリボンが印象的で、年老いている筈なのに何故だか少女のような印象を受けた。


「……梢さん」


ふと、口から滑り落ちたその名前。

彼が大事に思っていたお婆さん。