考えている間にも、通話口からは喧騒が大きく聞こえ始めていた。
『おい佐伯、そろそろ置いてくぞーー？』
『はいはい！すぐ行くって！……悪い千花ちゃん、そう言う事だからまたな！』
「あ、うん。ありがとう、忙しいのに」
友達と一緒に居たよで、慌ただしい様子で話を切り上げる。
切られてしまう前に今一度お礼を述べれば、通話は途絶えた。
「どうだった？」
「う～～ん……？」
会話が終わるのを何も言わずに待っていたであろう京ちゃんは、通話が終わったのを見計らって事の詳細を訪ねてくるのだが、返答に困ってしまう。
収穫はあったけれど実があったかと言えば、無かったに近いかもしれない。一番知りたかった彼の話は知れなかったのだから。
私が良い顔をしなかったからなのか、京ちゃんも少し考える素振りを見せて一つ提案をする。
「月乃ちゃんに聞いてみれば？」
と、言われて漸く気づくのは佐伯くんに連絡を取るよりも確実な方法。
しかし、
「充電、もうないみたい」
モバイルバッテリーでは電話するほどの電力を維持していられないらしかった。
