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一週間の帰省を経て、また今住んでいるアパートに帰ってくる。

実家と違って、夏の匂いなんてしないし、コンクリートによって照り返される熱は何処までも不快な暑さを伴う。耳には車の音や人の話し声、喧騒が付きまとう。

全然違うけれど、ここが今私が生活している場所で、帰ってきたという感覚を持つ。

何もない田舎に帰って纏まった思考は、私の歩く方向を示してくれる。


「よし」


アパートに着いて荷物を片付けてから意気込む。次にすべき行動は連絡を取る事。

放って置いた携帯は流石に充電が無くなったようで、先ずは充電をしてからだと充電器を挿しているベッドボードに向かう。

が、


「……あれ?」


その充電器が見当たらなかった。