手元を見つめるように、俯く。おろしている髪が頬に触れて邪魔にすら思えた。
「けど私、思うんだよね。誰も責めなくて自分が悪いって言うのは美徳だけど、ただのエゴだって」
「っ……」
ああそうだ。確かに莉子ちゃんの言う通りだ。
自分勝手な欲望を美徳にしようとしているだけなのだ。
言い換えてしまえば誰も責めれなかった彼にだってそれは当てはまる。
肯定した私は、もしかすると間違っていたのかもしれない。
「同じエゴ振りかざすなら、別にいい子にならなくてもいいんじゃない?彼氏だって一人じゃないし、友達だって一人じゃない」
「……」
ゆるりと、言葉に顔を上げれば莉子ちゃんからはスッと笑みが消えて私の方に居住まいを正す。
無と呼ぶに等しい表情からは、感情もない声が上げられた。
「自分にとって悩みの種になるなら切り捨てればいいんだよ」
きっと、私にとって考える事すらあり得ない選択肢を彼女は私のエゴに突き付けたのだ。

