莉子ちゃんに倣ってベンチに座れば、躊躇いも見せずに率直に問いかけてくる。
「んで?どしたの瀬戸ちゃん。珍しく情けない顔してさ~~、痴情の縺れ?」
「……っ、……」
決してふざけているわけでもなく、努めて通常通りにしようとしてくれているのは感じ取れるのだが、私は思いの外動揺してしまっていたのか口をパクパク動かすばかりで言葉にする事が出来ない。
隣ではシャリッとシャーベットを軽快に噛み砕く音が聞こえた。
「っても、瀬戸ちゃん人と争ったりって出来なさそうだからね~~一方的に言われた感じかな?」
「……い、言われた、とかじゃなくて」
「まぁ私は部外者だから、どうのこうの言わないし詳しく言いたくなければ聞かないけど、愚痴があるなら言っちゃえ言っちゃえ」
普段なら滅多な事は言わない。だって、自分が嫌な話を人にした所で相手に不快感を与えてしまうかもしれないから。
でも、今の私はどうも駄目らしく、また何度か空気を吸った後に漸く声を出した。
「ふ、淵くん……が……淵くんが、元カノと一緒に居て、それで、それを見た私の友達が怒って淵くんと喧嘩して、それで、それから……」
私とも喧嘩のようになってしまった。とまで口に出来ずに声が萎んでいく。
自分が思っている以上に堪えてしまっているらしく、たったこれだけ口にするだけで疲弊してしまう。

