明らかな敵意が向けられるのを感じる。
何と答えていいのか、何を言えばいいのか浮かばずに唇を噛めば、またヒールの音が鳴り響いた。
「お友達じゃないって何?じゃあ、妹とでも言うの?」
「ナナくんの妹は月ちゃんだけだよ」
喰ってかかる様に話す京ちゃんに対して、ゆるりとした話し方の彼女。
それが京ちゃんをイラつかせるのか、また噛みつく。
「そんな事は分かってるわ。って言うかねぇ!アンタも何で腕組まれてされるがままなの!」
「……色々訳があるんだよ。水無川、離して」
多くは語らずに漸く腕を解いて、一歩遠ざかる。
「ベタベタされる訳って何?私そう言うの嫌い」
「ま、待って京ちゃん……!」
複雑な内情がある事を少しだけでも理解しているつもりであるので、詰め寄る京ちゃんの腕を取って引き止める。
グッと、京ちゃんの腕に力が入るのが分かった。

