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「ごめん、今日ちょっと急ぐから一緒に帰れないんだけど、大丈夫?」


久しぶりにバイトのシフトが重なっていたのだが、終わるや否や淵くんにそう告げられる。

一緒に帰る事が当たり前になっていたので、思わぬ断りだったが彼にも彼の時間があるのだ。

仕方ない事もある。


「うん、大丈夫。気にしないでいいよ、またね」


早く行って、と言う意味を込めて手を振り一歩下がる。

彼は申し訳なさそうに眉を下げながらも、何処か名残惜しそうに歩きはじめる。


「……あれ?」


何の用事かは聞かなかったけれど、歩きだした方向はいつも帰る方向とは真逆だった。

こんな時間からまた何処かに出かけると言うのだろうか。


「う~~ん……」


とは言えこんな細かい事を詮索するのも好きではないので、「まあいいか」といつもの帰り道を歩き始めた。