神様には成れない。



多くの女の子が知りたがっているであろう連絡先を、こうして入手しようとしているのを不思議に思いながらも操作を進める。

と言うより、今まで誰にも教えていない物を簡単に私に教えても良いのだろうか。と、逆に不安になってしまう。

いや、でも遠回しに拒否も直接的に拒絶もされずにすんなり受け入れてくれているのだから気にせずともよいのか。


「……よし、これでこれからは問題なく瀬戸さんと連絡取れるね」


と、そうこう考えている内に難なく連絡先を交換し終えてから淵くんは立ち上がる。

その動作を見て、すらっとした見た目の人は何をしても絵になるな。なんて呑気に考えていた。

そんな私に振り返り、ニッコリと笑って言う。


「さてっと、気を取り直してデートしようか」

「あ、改めて仕切りなおされると照れるね」

「えぇ~~?だって今日はそう言う話だったじゃん」

「それはそうだけど……」


それだけではないのだ。

大学内でのグループで男女混交で遊ぶことはあれど、私からすれば異性と二人っきりと言うのは殆どないのでやはり意識をしてしまう。

しかし、意識するのは私だけで、淵くんにとっては名称だけが立派なもので結果としてはただ遊びに行くと言う事だけなのだろう。

私にとっても突き詰めればそうに違いないのだが、簡単に割り切る事が出来ないのは、まともに恋愛をしたことがないからなのかもしれない。

価値観の違いをどうこう考えた所で何も始まりはしないので頭を振り、切り替える。


「それで、何処に行くの?」

「えぇっと……花を見に行くか遊園地に行くか買い物に行くかご飯食べに行くか……とか?」

「とかって……何かやけに振れ幅大きい選択肢だね」

「んんーー参考までに色々聞いてみたんだけど、難しいよねぇ」


困ったように首を傾げて考え込む。私はと言えば頭を抱えたい気持ちに襲われていた。