神様には成れない。



「俺さー、バイト先の人と連絡先交換してなくて、こんな時に困るんだってやっと実感した」


買ってきてもらったジュースを飲みながらそんな呟きを聞く。

おそらくそんな気はしていたが、本当にそうだと本人の口から聞かされると、やはり驚く。


「だから店に電話して聞いたんだけど、個人情報だからいくらなんでも勝手に教えれないって言われて、あ、そうですかってなったんだけど……あれ?どうしたの?」

「うっ、ううん!なんでもない!」


不意に落とされた爆弾発言。まさかその勇気があるとは思いもしなくて、硬直してしまう。

そして気恥ずかしいからと他のバイトメンバーに聞いたりしなかったのを申し訳なく思った。

結果として誰とも交換してないと言うのだから意味がなかったわけなのが。


「と、とりあえず次から困らない様に、連絡先交換しておこう?それで今日の事はお相子って事で」


どうしようもなかった事を誤魔化すようにスマホを取り出す。


「ああ、そうだね。じゃあちょっと待ってね……」


彼もまた同じように操作をし始めた。