神様には成れない。



彼は此方の様子に気づいているのか気づいていないのか、まるで遊ぶように繋いだ指先を動かし、手を繋ぎ直した。


「へっ!?」

「もうちょっとだけ、一緒に居てよ」

「う、え!?あ、あの……」


戸惑う私を面白がっているかの様に、へへっと悪戯っ子のように笑う。


「っ、っ~~!」


駄目だ。今の彼には話が通じない。そうして何より、困った事にそう言われて拒めないのは私で、ギュッと心臓を掴まれる感覚と呼応するように指先に力が入った。

了承したつもりはなかったけれど、彼はこれを返答と取ったようで嬉しそうにまた一段と頬を緩ませる。

どうしたものだろうか。

頭を抱えたくなる私とは対照的に、彼は至極普通に振る舞っていて廊下の向かって左側の扉に手を掛ける。

私が知る彼の家の構造はリビングとシャルロットの部屋のみ。この部屋は初めて入るのだが、何の部屋なのか。

誘われるままについていけば、最初に目に入ったのはベッドで、どうやら寝室のようだ。

いいや、テーブルにパソコンや本棚、脱ぎ散らかしたであろう洋服がある事から自室でもあるようだった。