神様には成れない。



パタパタと手で風を起こして、少しでも熱を下げようと試みる。


「まぁまぁまぁ、そんな気にする事でもないと思うんだけどな、俺が煩悩だらけなだけだから」

「き、気を使わなくて大丈夫だよ」


とは言え、私を気にしての事だとは思うので肝に銘じておくべきではあるだろう。


「ありがとね、佐伯くん」

「おう。それはそれとしてなんだけどさ、出来れば今日の事は忘れてやってくれよな、淵の為にも」

「……?」


言われてみれば、先にも同じ事を言われていたのだ。

聞き流してしまった事を、佐伯くんは気に留めていたのか。それほどまでに重要な事だと言わんばかりに二度目の頼み。


「なんつーかあれは、言ってみれば千花ちゃんに甘えてるようなもんだし、酔ってるとは言え本人も不本意だろうしなぁ」

「私は気にしないけど」

「いや~~男としては気になる所なんだって」

「そう、なんだ。男の子も大変だね。そう言えば少し前にも淵くんも似たようなこと言ってた気がする」

「だろ~~?男は単純明快めんどくさい生き物なんですよ」

「ふふっ、なにそれ」


ふざけた様子がおかしくてまた笑ってしまう。佐伯くんの良さはこの明るさにあるのだろう。そう思った。