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大学近くの公園まで移動し、バイト終わりのように二人並んでベンチに座る。
夕方の現在、ランニングする人や、近所の小学生、大学の生徒であろう人達等がいて賑やかだった。
当たり前だが夜の静けさとは違うのだなと実感する。分かりきった違いを比べてしまうのも、きっと今、淵くんと一緒にいるからだろう。
「どう?落ち着いた?」
「……落ち着いた。けど、色々情け無いし瀬戸さんに申し訳ない。ごめん」
本日数度目の謝罪の言葉。
私としてはあまり何かと気にしてはいないのだが、私が逆の立場ならと考えれば彼と同じように大いに気にした事だろう。
情け無い気持ちはどうしようもできないだろけれど、
「私も淵くんの連絡先聞かなかったし、終わる時間とかも聞いてなかったからお互い様だよ。私もごめんね」
そこは、淵くんが悪いわけではないのだ。それだけはわかってほしくて私も頭を下げる。
「いやでも、よりにもよって俺から誘っておいて瀬戸さんを待たせるなんて、配慮が足りてないしさ」
私が謝る事では無いと言いたげに困った表情を見せた。
「……何か、淵くんって案外きっちりしてるんだね」
「えぇ……何それ。俺一体どう思われてるの?人並みの感覚持ってれば普通でしょ」
と私が軽口を叩いたことにより、彼もまた少し気が楽になったのか調子を取り戻す。
しかし、
「あっ!そう言えば瀬戸さん喉乾いたって言ってたよね!俺の買ってきてもらったから買えてないでしょ?よかったら飲んで」
「んん……?」
こう言うところが人並みの感覚では無いのだ。

