そんな相手とは対照的に、気まずい気持ちになっている私は視線を自らの手に持つ缶ジュースに向けた。

8割は選択する冷たいリンゴジュース。熱い手が冷えた缶の温度を吸収していく。

ジュースが温くなりそうだなぁ。と現実逃避を始めてみるが変わらないのは分かりきったことなので缶に口をつけて一口飲む。

飲み干したあとにもう一度喉を鳴らして、漸く口を開いた。


「淵くん」

「はいはい?」

「私の聞き間違いじゃなければ、死を前提にって言われた気がしたんだけど?」

「あ~~そうだよね。そこ引っ掛かるよねぇ、分かる分かる」


恥ずかしい話、一応は初めての告白で羞恥やら何やらが入り交じって少し声が震えてしまっていたと言うのに、当の相手はうんうんと頷いてにっこりと笑った。

反応の食い違いが起こっているようで、私はただただ困惑するばかり。


「じゃあ、説明していこうか。まず、前提として」


軽い口調でそう言い、笑顔を絶やさずにまたもや謎を呼ぶ発言をした。


「俺はね、死んだときに迎えに来てくれるのが瀬戸さんだったらいいなって思ったんだ」