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次の日の日曜。彼の部屋に来ていた私は昼下がりから落ち込んでいた。


「うぅ……」


こんな筈では。と目の前の皿に直面して情けない気持ちになる。

お昼ご飯として月乃ちゃんと一緒に作ったハンバーグ。


「……見事に焦げちゃってるねぇ」


呑気な声を上げながら、焦げてしまったハンバーグを眺める彼。

三つ作ったうちの一つを見事に焦がしてしまったのだ。


「だっ、大丈夫です!兄も昔盛大に焦がしてましたから!!」


私の落ち込みように慌てて月乃ちゃんがフォローを入れてくれる。

こんな事なら月乃ちゃんか淵くんに頼めばよかっただなんて今更に後悔。


「あははっ。懐かしー、今でもよく焦がすけどね」


とケラケラ笑いながら、自然な仕草で彼は焦げたハンバーグが乗ったお皿を自らの方に引き寄せる。


「えっ!?そっち焦げてるからこっち食べて!」


残りの二つは悲惨な結果にはならなかったので、これらを二人に食べて貰おうと思っていたので、これでは申し訳が立たない。


「いいよ。俺がこっち食べるから」


お皿を交換するように促したのだが、かわされてしまう。

だからと言って、引き下がれるわけがない。


「ううん、焦がしちゃったの私だから私が責任持って……!!」

「いただきまーす」

「あぁ!?」


そんな私の抗議も聞かずに彼はさっさと手を合わせて食べ始めてしまったのだ。


「うん。美味しい」


ニッコリ笑って焦げている事など些細な問題だと言うように。