「うぅ……」
これ以上の事を何か言っても逆に恥ずかしくなってしまうだけなのは目に見えたので、口を噤んで落ち着きなく視線を彷徨わせる。
月乃ちゃんは携帯の写真を見直して彼もまたそれを覗き込んでいる。
「――……そう言えばSNSで上げた時もこれが一番反応良かった。でも、本人が目の前に居るのに……兄も形無しだ?」
クスクスと淵くんに笑って見せて、携帯を傍らに置きなおす。
「えぇぇ……俺高3の自分に負けたの?」
「そっ、そう言う訳じゃないんだけど……!!」
本人を目の前にした事があるからこそ、妙な感情が沸き起こったに過ぎない。
今本人をジッと見たとしても更に過剰な反応を見せた事だろう。などとはまさか言えずに、唇を噛んで堪える。
「せっかくなのでこの写真千花さんに送っておきますね」
「えっ、い、いいよ……!」
「あ、じゃあ俺さっき撮ってたの送っといて」
「はいはい。あ、心配しなくてもSNSはもうやってないので何処にも上げたりしませんからね」
と特に心配をしていたわけではないのだが、謎のフォローをするように添える。
マイペースな兄妹についていけずに何となく空を見上げると、曇り雲の切れ間からは綺麗な星が見えていたのだった。