神様には成れない。



三人それぞれ書き終えてから、何本も並んでいる笹の前まで移動する。

丁度同じように吊るしに来た人達や、吊るし終えて見知らぬ誰かの短冊を眺めている人達がさまざまに入り混じっていた。


「なるべく高い所に飾りたい、んだけど……!」


月乃ちゃんは精一杯背伸びをして吊るそうと奮闘している。

私はと言えば自分が届く範囲で吊るしてしまったので、もう短冊を持っていない。

彼も身長が高いので、そこそこに高い位置に吊るしていたのを横目で確認していた。


「手伝おうか??」

「い、いえ……!大丈夫です……っ!」


私の方が幾分か背が高いので申し出たのだが、彼女は拒否して爪先立ちでプルプルと震えながら、一生懸命になって短冊を吊るそうとしている。

断られてしまった手前、何も出来ずに一歩下がる他なかった。


「もう、ちょっと……!」


漸く掴んだ笹の枝に素早く紐を掛けて手を離す。


「で、できっ、た!」


届いた事が嬉しかったのか、彼が先に言ったように私には分からないだけで浮かれていたのか、パッと笑顔を作って此方に振り返ったのだ。


「私、出来たよ!ナナ!」


と、今日一緒に居た彼女とは180度違うその言動。

やはり彼女は必死に自分を作っていたのだ。そう思う以外に出来ない表情だった。