元々付けていた物と残りの片方を渡されてから知ったのだが、もらったピアスは両耳でデザインが違うアシンメトリーのものだった。

それはシンプルで男の子が付けていても良さそうなもの。

妙に舞い上がっていた私はつい「淵くんこっちつける?」なんて何も考えずに言ってしまったのだ。

しかし、完全に失念していた。彼はピアス跡があるのみで付けるには再び開けなければならない事を。

それでも、彼は何て事もないようにケロッと言ってのけたのだ。


「ん~~、一緒がいいならパッと開けちゃうけど。ブスッと」


と、平気そうな顔をして。

当然私は開けて欲しいとか、そういう事は思っていないので全力で拒否したのだが。


「……」


思い出して、やはり都会の子は結構普通に開けてしまうものなのかと震える。


「おーーい?瀬戸ちゃーん?どした??」

「う、ううん!何でもない。ペアとかそう言うのじゃないから、莉子ちゃんの期待にはそえないなって」

「ははぁ、それは残念。まあ、大学生じゃそゆの流行んないよね~~」


それでも、私はこの一件で思い知らされた事がある。

一種の見栄で、見栄えで開けた事について心の底で後悔していたのだと。