神様には成れない。



今までの笑みとは違う。先までのおかしそうに笑う表情とも違う。

どこか幸せそうな心から満たされたような表情。

今までだって、顔が整っているだけにどんな表情も絵になる程だったけれど、その笑みはまた別で、目を奪われた。

それはそう、自分を守るための表情でもなく、作られた表情でもないと本能で感じたからかもしれない。


「瀬戸さん?」

「へ!?えーと……えと。あっ!淵くんって意外とピュアなんだね?」


キョトンとした様子で丸い目を此方に向けられてハッとする。

見惚れていた。などとは言えるわけもなく慌てて繋いでいた手を振りほどき、取り繕うように口走った言葉はチグハグな会話。


「あははっ、急に何だそれ」


また私が変な事を言っている。くらいにしか思っていない様子でクスクスと笑って流す。


「だって俺、こんな奴なんだから仕方なくない?」


それでも彼もまた応えようと、軽い調子で自分を恥じる様子もなく開き直っている。

そんな姿に対して気づかれないように私は小さく笑った。