神様には成れない。



沈黙なんてなかった。だけど、きちんとした言葉もなかった。

淵くんは少なからず動揺したらしく、


「え、っと……?」


首を傾げながら次に繰り出す言葉を探しているようだった。

いつも調子よく話をしている彼とは違い、珍しい光景。頭の回転が速いのか、会話に詰まるところなどあまり見た事なかったのだが、どうやら私の返答が相当予想外だったらしい。

此方も先に混乱させられたのでお互い様だ。


「これは三つ目の選択だよ。勿論淵くんが了承してくれるなら。なんだけど」


前置きをしながらも、こんな事でも告白は告白で、緊張からか私の手は少しだけ震える。


「話を聞いた今だからこそ言える事だけど、淵くんの目的の道筋を作っていくのはどうかなって」


目的までの道のりを飛ばしてしまった告白は、暗くて足元すら見えなかった。

だけど、彼が話してくれた事で少しだけ見えたのだ。障害物があるからこそ飛ばしてしまったのだと。

だったらそれをクリアしていけばいいだけの話。


「それって瀬戸さんに何の得もなくない?」

「そうかもしれない。でも、中途半端に返事をする事もただただ断る事も私には出来なかったんだよ」


これには私の我儘も含まれている。

自分の立場に置き換えてみた時の話。


「それに、死んだ時に一番好きな人が迎えに来てくれたら幸せじゃない?」


もしかすると、彼はそんな事思わないのかもしれないけれど。