「それならもっと、思ってる事とか何でも。沢山話してくれると嬉しいな」
そうやって彼の事をもっともっと知っていきたいとまた思う。
以前にも知りたいと口にしたけれど、またもう一度相手に伝える。何度だってこの欲求は私を襲うのだろう。
「瀬戸さんもね」
「あ……」
「また脱線しちゃったから、話の続きしようか」
「う、うん」
彼の言葉に思い当たる節があった為に口に出そうとするも、元の話は次の行き先についてなので頷きを返す。
話の骨を折るのは得策ではないと、遮る事はしなかったけれど、本当はまだ逃げていたかっただけなのかもしれない。
その気持ちを誤魔化すように、彼が淹れてくれたカフェオレを口にすればその温かさに少しだけホッと息を吐く事が出来た。

