神様には成れない。



「お邪魔します」

「あ、そこのドア開けておいて」


改めて声を掛けて部屋に足を踏み入れ、閉じようとした所からまた開け直して手を離す。


「ありがと。今日はシャル自由に行き来させる日だから、そいつの事も勝手にさせておいて」

「そうなんだね。わかった」


玄関に向かう廊下を見れば、前回シャルロットが居た部屋も開けたままになっている。もう二つ扉があるのだがそこは閉じられたままで、行き来できるのはこのリビングとシャルロット自身の部屋だけらしい。


「でも玄関開けたりしたら出て行ったりしない?」


来た時から空いていた扉を見るに、恐らく家を空けている間も自由にさせていたのだろうが、今開けて出て行かないからと言って次に出て行かないとも限らない。


「大丈夫大丈夫。今日大人しいみたいだし、何だかんだ賢い子だから出て行ったりしないよ。それにまあ家に来る人なんていないし、次玄関開けるのだって瀬戸さんが帰る時くらいだから」


そう言って彼が大丈夫だと言うのならば私が過剰に心配する事もないだろう。

シャルロットを探してみれば今も淵くんの足元をウロウロと彷徨って、時折呼びかけるかのように鳴き声を上げている。