神様には成れない。



また再び疑問が浮かぶ。

自分と比べてどうか何て一つの指標に過ぎないのだが、私は地元に帰るのに四、五時間くらい掛かってしまうので、実家から近いのなら一人暮らしをしなくてもいいのでは?と思ってしまう。

想像に及ばない理由があるなら別だけれど、一人暮らしをするよりも実家暮らしが出来るのであればそちらの方が遥かに楽だ。

家事などを自分だけでせずに、家族と協力してする事が出来るのだから。

だけど、それを深く問いかけてもいいものだろうかと迷った末、言動に出てしまう。


「一人暮らし、大変じゃない?」


そんな微妙な問いかけをしてしまい、彼は一音間を置いて笑いを上げた。


「あははっ。瀬戸さんだって、一人暮らししてるじゃん」

「う……」


確かにそうだ。置かれている環境については同じで、大変なのも当然として分かっているのだ。


「それに一人は一人で気楽だしね。だらけてても、ちょっと部屋散らかしてても怒られないし」


何だかんだで身の回りの事をきちんとしていそうなのに、利点だと言いたげに話すのが彼らしからぬ事で可笑しい。

家に行った時だって特に散らかしている様子もなく、シンプルですっきりとした部屋だったのだ。


「ふふ。実家だと怒られてたの?」

「そーそー、妹の方がしっかりしてるからよく妹に怒られる」

「妹さんいたんだっけ。どんな子なの?」


言われてみれば以前にそんな事を少しだけ言っていた。

その時はまた別の話へと流れて行って、その話をする事もなかったのだが。