私の地元とは違って、夜10時を過ぎたって街灯や建物の明かりで道は明るい。人通りだって充分にあり賑やかだ。
そんな夜道をいつものように二人並んで歩く。
「お休みもらえそう?」
「うん。七月の事だから全然問題ないって」
今は五月も終わりの事なので彼の必要としているお休みは二ヶ月も先の話らしい。
バイトは次のシフトを組むまでに希望休を3日分までは記入しておく事ができるシステムなのだが、全体の関係で希望した日が休みにならない場合もある。
どうしても休みが必要な人などは、それを避けるために早めに直接店長に言ったりするのだ。
今回の彼もそうなのだろう。
「淵くんは希望休とかは書かないんだね?」
先に言っていた彼の言葉を思い出して聞けば
「基本的に殆どバイトに入ってないから必要ないんだよねぇ」
と、その通りらしく特に拘らないと言う雰囲気だった。
私は月が切り替わる毎にシフト表を捨ててしまうので、確認のしようもないのだが、言う程に入っていないという気がしていなかった。
「でも、最近までよく一緒のシフトだったよね?」
記憶違いでなければ、私が入る時にはよく彼も一緒に入っていたのだ。
「それはほら、大学生とかは春休みに帰省するし三月とかだと特にキリが良いって事で辞める人が多かったから。基本的に店長がシフト組み辛い時に入れて貰ってるんだよね」
「淵くんは帰省しなかったの?」
私はと言えば彼が言う通りに春休みに入ってすぐに一週間ほど纏めて休みをもらっていた。
シフトが組み辛い時に入れて貰っているのなら、同じように希望休を書かないのなら、そう言った休みも貰っていないのではないだろうか。
「ん~~、俺一人暮らししてるけど、実家はここから三十分もかからない場所だから」
だから帰省をする必要はない。いつでも帰れると言うようにまた、拘りがなさそうだった。

