次いで淵くんは苦笑いを浮かべて、神崎くんの方は目が閉じてしまうほどの笑みを浮かべた。
「やった!瀬戸さんから仲良い認定された!僕淵さん好きっす!」
「何でそうなるんだよ」
淵くんは呆れたように溜息を吐き出すもそれを彼は気にする様子もなく、言及する。
「でも、もしかして、瀬戸さんあんまシフト気にしてないです?僕一緒に入る人とか前後に入る人とか気になっちゃってもらったらとりあえず確認するんすけど。だから色んな人のシフト覚えちゃって」
「私も一緒に入る人は見るんだけど、それ以外は殆ど見ないかな」
だからこそ、最近になってじっくりとシフト表を眺めて漸く気づいたのだが。
「瀬戸さんも案外淡白だよね」
とその言葉が示唆するところは、いつだったか私が淵くんに向けた言葉で、反応に困ってしまい「そうなのかなぁ……」とぼんやりと言う。
「あ、でもでも、入ってから沢山熱心に教えてもらったし、僕瀬戸さんの事も好きです!僕が気にしがちなだけなんです!」
私が落ち込んだとでも思ったのか、ワタワタと謎のフォローを入れてくれる。
それもまた必死で微笑ましくもあり、思わず頬が緩んだ。
「うん。ありがとう」
「――……っと、ずっと雑談してたら怒られるね」
「はっ!?僕も上がらないと店長の胃が痛くなる!!じゃっ、じゃあ、瀬戸さんお先お疲れ様です!」
「瀬戸さん、また後でね」
「お疲れ様~~」
軽く手を振って挨拶をすればバタバタと慌ただしくスタッフルームに向かう彼に続いて、淵くんものんびりとした足取りで通り過ぎていったのだった。

