神様には成れない。




「淵さん!」


私が声を上げるよりも早く気づいた彼は弾んだような声を上げる。


「おはようございます。あ、いや、こんばんは?」


挨拶に戸惑ってる彼を淵くんもまた、クスクスと笑いながら見守っていた。


「どっちでもいいと思うけどね。お疲れ様、二人とも」

「どうし……」

「淵さん今日はどうしたんっすか!珍しいすね!あ、えと、いらっしゃいませ?」

「んーーん、今日は客じゃないよ。休み欲しい日あるから早めに言っておこうと思って。あと、ついでにシフト表出てるなら欲しかったし」

「なるほど!です!」


と、私と話す時以上に高いテンションでうんうんと頷いている。

この時間帯のバイトは店長が奥にいるにしろ二人で店を回す為に、自分と他の人とで入るのが殆どだ。

だから他人と他人がどんな様子で普段仕事をしているかなんてあまり分からない。

故にこの二人の組み合わせを見るのも新鮮だった。

どうやら淵くんは彼にかなり慕われているらしい。

話に入る隙もなく一歩引いてまた時計を確認する。

希望休の話が長引けば淵くんと一緒に帰れないかな。なんて邪に時間を計算してしまう。


「でも珍しいっすね!シフト少ない分、淵さん希望休言ったりしないじゃないっすか」


ある程度で話に割って入って上がるように今一度促そうと考えていたのだが、この言葉に目を向けてしまう。

私が淵くんがあまりバイトに入って居ない事に気づいたのなんてつい最近のことなのに、それを私より後に入った彼が知っているので驚いてしまう。


「すごい、よく知ってるね?二人、仲良いんだね?」


単純にそのことについて感想を述べると、二人して目を丸くした。