「……」
返答に困ってしまい、硬直してしまう。
先日莉子ちゃんは応援するような事を言ってくれていたのだ。私にさえ発破をかけるような言い方をしたのだ。
それなのに、今日になって悪意を含んだような対応をされてしまえば、私は声を上げる事さえ躊躇われる。
「んふふ、瀬戸ちゃん困ってるね。出会いなんて、無理矢理でも作れるんだよ。私の情報網舐めないで欲しいな~~いたっ!?」
「!?」
突如として莉子ちゃんの頭に拳が振り、講義室に声が響き渡る。
反射的に何人も此方を見たけれど、見ただけで大事ではないと知るや否やまた各々の行動を続けた。
「やっと始まる前に来たと思えば千花苛めて楽しいか?」
容赦なく手を上げた主は席を外していた友人で、莉子ちゃんは慣れた様子で頭をさすりながら、反論を上げる。
「苛めてなんかないよ!ちょっとからかってるだけじゃん!相変わらず三咲はうっさいなあ!」
「一緒だ!」
「あいたっ!」
「あっ、わ、私なら大丈夫だからそれくらいで……!!」
この二人は仲が良いには良いのだが、距離感が近すぎて時折容赦がないのだ。
私が理由で言い合いになっても申し訳が立たないので割って入る。
「放って置くと調子に乗ってペラペラ要らない事喋んだから、たまには強気に出てもいいよ、千花は」
と呆れた様子で、莉子ちゃんの隣に腰を下ろす。
「それなんだよね、瀬戸ちゃんは~~。世の中には悪ーい人だっているんだから、反論位しないと。『私の彼氏取らないで!』ってさ」
「かっ!」
「え、彼氏出来たの?」
「そうなんだよね~~?しかもめっちゃ顔整ってる。綺麗系。ビックリする。友達になりたい」
私が何か言うよりも早く、単純な感想をつらつらと並べていく。
一言だってそんな事は言っていないのだが、最初から肯定として彼女なりに捉えてしまっていたのだろう。
私も私で間違いではないので、コクコクと頷きだけ返した。

