だが、空想の結論に達していたなら、私だけが嫌な思いをして終わるわけではない。
「でもそれって、淵くんも嫌な思いするんじゃないの?」
「……え?」
「だっ、だって、出来ないわけじゃないって無理してることになるんじゃないの?」
ポカンと呆気にとられたような反応されると、私の言っていることがおかしかったのか急に不安になり、慌てて取り繕う。
「いや……うん。それはそう、だけど……」
彼は素直にコクリと頷くのだが、どこか不思議そうな様子だった。
「うーん……」と唸りを上げて首を傾げる。
「普通に考えて俺に対して怒るところじゃない?」
憐れむような視線を受けて、暫し考えてしまう。
「……そうだよね」
確かにそうだ。言ってしまえば不誠実な対応をされていたのかもしれないのだから。
「何でそこは鈍感なの……」
浮かべられた苦笑いに、同じように返すしかない。

