一度引くと今度は羞恥心が勝って、彼の目を見る事もままならない。
視線を逸らすように横を向いた。
きっとそれは、言葉のない答えだった。
言えない。は言ったも同然だ。
けれど、彼はそれで納得しない。
「――なら、いつか瀬戸さんのタイミングで聞かせて」
乞うように一度手を強く握って、片手を離した。
そうして、恥ずかしくて堪らない私の頬にひんやりとした温度が伝わる。
彼の手だ。どうやら私の頬は酷く熱を持っているらしい。
「こっち向いて。瀬戸さん」
「っ、」
声が近づいた。
殆ど反射的に向き直ると目が合い、彼は目を細めて微笑んだ。
「俺、瀬戸さんの事好きだよ」

