メニューを見ても目が滑ってしまう。
彼をこっそり見遣っても、表情一つ変えないで食べる物を考えるようにパラパラとページを捲っている。
何を思っているのか、何も思っていないのか。
当然読み取れるわけもなく、伏せがちになる目が此方を向くわけでもない。
また、焦燥感に駆られる。
急げ。動け。そんな風に感じながら、安易に想像できる彼の困った表情が浮かぶ。
まだ何も知らなかった頃に言った『恋をする事前提に』というのは、言ってしまえば私が勝手に言った事に等しい。
彼はあの時から諦めて線引きをしようとしていたのだ。
だから知ってしまった今、私は踏み込むことを躊躇ってしまっている。
「瀬戸ちゃーん、決まった?」
「っ、オムライスで」
「俺も一緒のを」
いつの間にか注文を聞きに来ていた莉子ちゃんの声に引き戻される。
メニューを殆ど見ることもせずに、彼女が勧めていたものを口走るように頼んだ。
私は普通に出来ていただろうか。

