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「いらっしゃいませ……って、あれ?瀬戸ちゃんだ〜〜」
「莉子ちゃん!ここでバイトしてたの?」
目的の店に行くと出迎えてくれたのは何故かお店を教えてくれた莉子ちゃん本人だった。
「たまーにね。ここ、高校の時にバイトしてたんだけど、大学入ってからはヘルプ要員でいるだけ~~だから、私いる時に来れるのレアだよ」
快活に笑いつつ、視線は私の隣の彼に移る。
一瞬驚いたように目を見開いたものの、私に視線を戻して理解したかのように笑みを一層強くした。
「うん?」
何となく嫌な予感を感じたものの、彼女は彼に会釈をして「瀬戸ちゃんの友達の中島でーす」と簡単に自己紹介だけをして、私達を席に促した。
私の気のせいだったのかと、先の笑みを頭の隅に追いやる。
莉子ちゃんはメニューを此方に差し出した後に、手を鳴らした。
「あ、そうだ瀬戸ちゃん。紹介するって言った男の話やっぱりもう一回考え直しといて」
「……っえ!?」
あまりにも自然な動作で投げかけられて、遅れて驚きの声を上げる。
その話は流れたのでは。今彼の前でその話をしなくても。と、弾かれるように顔を上げて莉子ちゃんを見遣れば、決定事項のように言った言葉だからなのだろうか
「私のオススメはデミグラスソースのオムライスだから良かったら食べてみて。また決まった頃にお伺いしますね」
と仕事に戻るように一礼をして踵を返した。
私は残されたような気持ちになり、メニューを見ることもままならない。

