数日ぶりに見た彼は数日前とまるで変わらず整った顔をしている。
それなのに何か違うような気がしてしまうのは、私の気持ちが変わってしまっているからだろうか。
そんな筈はない。そんな筈はないのに。
じぃっと黒い瞳が私を見つめ、首を傾げた。
「瀬戸さん今日、ちょっと雰囲気違うね?」
「へっ!?そっ、そうかな!?」
何となく意味もなく自分の横髪を軽く引っ張ってみる。
それはそちらではないのかと反論したくなったけれど、そう感じるのは私の変化の所為なのだ。論点が違う。
「う~~ん?何だろ。化粧が違う?」
しかしながら、彼は一つ目の違う点をピンポイントで言い当ててしまう。
淵くんに見た目の指摘をされる事なんて、予想していなかったので驚く。
と言うか、女の私でも友達の化粧が少し違うだけだと気づかない自信しかないのに、この洞察力は何だろうか。
京ちゃん曰く『千花はバッチリメイクで外出る方が嫌だろうから、ちゃんといつも通りに寄せたから』との事で、私が鏡を見ても確かに大差はなかったのに。
「お化粧の違い分かるの……?」
「え?んーーん、分かんないけど。何となくそう思って」
「実はこれ、京ちゃんが課題でやってくれたんだけど」
実際これは彼に会うためにやってもらった事だが、恥ずかしくてほんの少しだけ誤魔化しをいれてしまう。
それでも彼が気付いたのは、細かい工程の差が出ていたからなのだろうか。
「うぅん……最近、瀬戸さんとよくいたから。かなあ。余計にそう思ったのかも」
首を傾げて、ぼんやりと言う。
確かに最近は以前と比べて彼とよく居るようになったのだ。少しずつ変わってきている何かがあるのだ。
少しの変化にさえ気付いてくれたのなら京ちゃんがくれた勇気を借りて、踏み込んでみよう。
「いつもと違うと、変……かな?」
自分の髪を撫でつけて、問いかければ彼は首を横に振り、目を細めた。
「変じゃないよ。いつもと違って新鮮だね」
「――ありがとう」
その表情を見て、答えを聞いて、やっと少しだけほっと息が抜けた。

