神様には成れない。




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「ごめんね淵くん、待った?」

「ううん、大丈夫」


京ちゃんの家に行ってから促されるまま、淵くんにメッセージを送っていて、余裕を持って時間を指定していたのだが、彼の方が早く待ち合わせに着いていた。

もとより、私の足元が覚束なく歩くスピードもいつもより遅かったせいもあるだろう。

ともあれ、最初に私は少し震える手で彼に服が入っている袋を差し出した。


「あの、服ありがとう」

「どういたしまして」


たったこれだけの会話にソワソワと落ち着かない気持ちを携えているのに、彼は予想通り何も気に留めていないかのようにいつもと変わらない様子だった。


「別に次のバイトの時でも良かったのに。律儀だねぇ」


本当に律儀ならもっと早く返しに来ただろうけれど、そこまで思っている様子もない。

何気ない様子で私が差し出した袋の持ち手に手を伸ばした。


「っ、」


その時に触れた指先に過剰に反応してしまうだなんて、どうかしてしまっている。

気づかれないように俯いて、顔を隠す。

自然と目に映る足元はいつもより、ほんの少し遠い。

視界の端に映る黒い靴のつま先が動いた。

消えたそれを追いかけるかの如くまた顔を上げる。


「あ……」


当然のように合った視線に思わず小さな声を出してしまった。