そんな私に対しても京ちゃんは飽きれる事無く、うんと頷いてニッコリと笑いかけてきた。
「――なら、私が千花の背中を押してあげるわ」
「ありがとう」
私がコクリと頷くと、彼女は徐に立ち上がった。
唐突な行動に私は目線を上に上げながら首を傾げる。
「京ちゃん?」
「そうと決まれば……」
「……?」
にぃっと悪戯めいたように笑って、手のコスメを持ち替える。行動の意味が分からずに首を傾げるだけで反応する事さえ出来ない。
「次のバイトの時なんて悠長な事言ってるなんて、千花らしくないわ。だから今日、今、私が一番可愛くしてあげるから会いに行って」
「えぇ!?」
驚く間に京ちゃんはガッと私の顔を力強く抑えて、勉強の為に施していたメイクの一部を落とし始めた。
「まっ、待って!京ちゃんの勉強……か、かだいっ!」
「そんなのどーだって良いの!顔なら自分のがあるから!」
まだ完成させて居ないままに話を始めてしまった私も私だが、人の顔で練習したいと言っていた京ちゃんも京ちゃんだ。
これでは本末転倒だ。と思うのに、真剣な表情で私に向かう彼女を見ていると何も言えなくなってしまったのだった。

