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京ちゃんは私の要領を得ない話にも、時折相槌を打ちながら聞いてくれていた。
「――まさか千花からこんな話されるなんて思ってなかったから……待ってね」
困ったかのように眉を寄せて、目を閉じてまた開く。
そう言えば、ちゃんと人にこういう話をしたのは私とて初めてだったと今更ながら気づいた。
妙に心臓がドキドキとして落ち着かなくなる。
「千花って自分の考えちゃんと持ってるから、人に話す前にもう行動してると思ってたんだけど」
「そんなんじゃないよ。あんまり考え込む方じゃないってだけで」
考えなしなんだよねと笑って見せるのだが、彼女には一つ疑問があるらしいのだ。
「その~~、莉子ちゃん……だっけ?との話でどうにかしなきゃって考えたのは分かったし、私は基本的に男嫌いだけど千花が良いって言う子の事は良いとは思いたいんだけど……」
何故かそこで間を置かれ私は急かすように「けど?」と続きを促すように問いかけた。
「一切言わなかったけど、千花は淵くんの事好きなの?」
「……」
私が京ちゃんに話したのは大きく分ければ二つ。
莉子ちゃんとの話と、彼との話。
但し、彼の内面に関する事は伏せていて告白紛いの話も伏せてしまっている。
そして、私の感情についてもほぼ伏せてしまっている。そこを付いてくるのも妥当だろう。
「私……」
口を開いて出てきた言葉を押し戻す。吐き出せば楽になれるのだろうけれど、代わりに出したのは言おうとした言葉とは別の事。
「――今は只、淵くんと会うのに勇気が欲しいだけだよ」
誤魔化したわけではない。これも私の真実。
会う事を想像するだけで落ち着かない気持ちになるのを抑えたいだけだった。
「……そう」
京ちゃんは何か言いたげに、けれど何も言わずに手元に置いてあったコスメを手元で弄ぶ。何かを考えている様子だった。
わざわざ問いかけたけれど、きっと京ちゃんは察していて、私からの言葉と一致させようとしているのかもしれない。
でも、私は口を閉ざすのだ。

