「男女平等分け隔てなく接する事が出来るから、皆何も言わなかったんだと思ってるわ。嫌味のない性格。それが千花の凄い所で、私もそうなりたいと思ってはいるんだけど……」
乾いたような声を上げて、上手くいかない自分に落胆しているように見えた。
彼女の悪癖は、やはり高校の時に散々馬鹿にされた事から来ているのだろうがそれでも尚、立ち上がれる強さがあったからこそでもある。
「――……なりたいと思えるなら、きっとなれるよ。高校の時もそうだったじゃない」
「そうね。いつだって私のきっかけは千花だったわ。自分の顔が嫌いだった私にメイクを教えてくれたのも千花だったもの」
「う……っ」
「全然分からないのに、一生懸命クラスの派手な女の子に聞いてね」
その時の様子を思い出しているのか、クスクスと笑いを零す。
高校にもなれば、メイクをしている子も多くなるのだが、私はやはり今と同じように変化する事が苦手でノーメイクだったのだ。
今でこそ何とかしているメイクも最低限。そんな状態なのだから、高校の頃の私はサッパリわかっていなかった。
でも、京ちゃんは容姿について悩んでいると不意に言ったのだ。だから力になりたいと思った。
「あの子、いっつも綺麗にメイクしてて、ウジウジするばかりで無頓着な私の事嫌いだった筈なのに、千花の手際の悪さにイライラして、途中で代わったりしてね」
「うぅ……」
思い返せば情けないのだが、聞いてからその子に借りてもトラブルにならない分の道具を借りて京ちゃんに施そうとしたのだが、如何せんした事のないメイクに戸惑ってばかりだったのだ。
聞いてすぐ実践に使えるほど器用に出来ていないらしかった。
「私だって綺麗なあの子の事が羨ましくて、気がキツくて嫌いだったけど……それでもあの子、『肌だけは綺麗なんだね』って厭味ったらしく言った後に『羨ましい』って言ったの」
私の記憶ではそれ以上の会話をしてはいなく、今の京ちゃんなら言い返す所でもそれをする事はなかった。
ハラハラしながらも私はそれを隣で見ていたのをよく覚えている。

