「ほら、私ちょっとだけイジメみたいなの受けてたじゃない?そんな人間に声掛けれる子なんて一人もいなかったわ。酷い子なんて同調するばかりで」
表情に暗い影を落とした時に、ちらつく高校時代の彼女。
京ちゃんと初めて話したのはクラス替えをした二年生の時の事。
一年生の時はクラスが離れていた事もあり、恥ずかしい事に他クラスの事情など全くと言って知らなかった。
「皆私を空気みたいに扱ってたのに、千花は話掛けてくれたわ。『その鞄可愛いね。何処で買ったの?』って」
「……」
学校に持ってくる鞄は自由だった為、トートバッグだったりリュックだったりスクールバッグだったり様々だった。
そんな中で彼女は他の事はまた違うバッグを使っていた為、声を掛けただけだった。
私だって馬鹿ではない。同じクラスになってから話す機会もなかったものの、何となく嫌な空気は読み取れた。
けれど、それとこれは私の中で別問題だったのだ。
「話掛けられることなんてなかったから、この子偽善者なのか空気の読めない馬鹿な子のどっちかだわって思ってた」
「……京ちゃん酷いなぁ」
「でも嬉しかった。それに千花はそのどっちでもなくて、お人よしに思えるような事を普通にやってのけちゃうだけだった」
そんな大層な事でもないのに、彼女は平然と言ってのける。

