神様には成れない。



何故急にそんな事を言うのか。何故突然こんな行動にでるのか。

彼を至近距離から感じている私には頭の整理が追いつかなかった。

ただ、ドキドキと心臓を打ち鳴らし、ソワソワと気持ちを走らせるだけだった。


「っ~~!」


耐えきれずにギュッと目を瞑る。

暗闇がまた体の脈打ちを加速させたような気がした。


「ごめんね、きっと瀬戸さんみたいな女の子ならこう言う事されるの困るよね」


謝りながらそれでも彼は離れない。


「でも、確かめたかったんだ。自分が何かを思えるのかって」


ふわり、と髪に触れる手の感触。

それと共に、ゆっくりと額の冷たさが遠ざかり、私も閉じた目を開けた。

強く瞑った目は、室内の明るさに眩んで痛みさえする。

目を細めていれば、触れた髪が名残惜しそうに手から落ち、諦めたような弱々しい声が聞こえた。


「ごめんね、やっぱり俺には何も思えないよ」