翌日、男性の部屋であまりにも無防備に寝ていた私は、部屋のドアが開く音で目が覚めた。時刻を確認するために跳ね起きた私と、すでに私服に着替えていた公生さんと目が合う。彼は困ったように、微笑んだ。

「おはようございます。ぐっすり寝てたので、起こすのも悪いかと思って」
「あ、いえ……」
「もしかして、今日お仕事でしたか?」

 今日は、仕事ではない。だから私はすぐに首を振って、口元から垂れていた液体を手の甲で拭った。そして公生さんが持っている、コンビニの袋に視線が向かう。

「朝ごはん、本当は用意できたらよかったんですけど。僕、ちょっと料理が苦手で……」

 そう言って彼が袋の中から取り出したものは、健康を気遣ってくれたのかサラダ系のものが多く、私のお腹がくーっと小さく鳴った。

 その恥ずかしい音が公生さんに聞こえてしまったのか、口元を緩めて苦笑する。

「朝ごはんにしましょうか。すぐ、用意しますので」
「あ、はい……」

 その優しさは卑怯だろと、私は心の中で密かに思った。